塩化物イオンの測定
人間のし尿には約5,500mg/Lの塩素イオンが含まれています。 浄化槽の放流水の塩素イオンを測定することによって希釈倍率を求めることができます。 塩素イオンの測定方法には硝酸銀滴定法(モール法)と塩素イオン電極法(CL-10Z)があります。 硝酸銀滴定法は硝酸銀溶液と有害なクロム酸を使用しますが、滴定に時間がかかり硫化物の影響もあります。 塩素イオン電極法は塩素イオンに感応する塩化銀の固体結晶膜を使用した測定法です。 塩素イオン電極による測定方法は測定が簡単で迅速に正確な測定値が得られます。 測定時はイオン活量強度や流速の影響を除去するためにマスキング剤を検水に2%容量添加して校正と測定をします。
塩素イオンの測定用途
塩素イオン電極法はJIS法にも採用されており、塩素イオンの測定はいろいろな用途があります。 浄化槽放流水においては、放流水の塩素イオンを測定することでし尿の希釈倍率を求めることができます。 生コン塩分測定においては、生コンに海砂等を使用するとコンクリートの劣化が進行してしまい建造物の劣化の原因となりますので、適切な塩分測定と管理が必要になります。 この測定と管理を怠るとコンクリートの寿命が短くなってしまうこともあり、建造物の耐性ももろくなってしまいます。 また、食品や化学分野においては、製品の開発実験、品質管理のための塩分測定等が必要となります。
塩素イオン電極の寿命
イオン電極は基本的に消耗品です。 塩素イオン電極の寿命は使用条件によっても劣化の程度は異なりますが、適切な保守管理を行っていれば寿命の目安は1~3年位でしょう。 電極の保守として、銀電極の表面の酸化被膜や汚れはサンドペーパーで定期的に研磨し清掃する事、セラミック液絡部を常に湿った状態に保管する事が望まれます。 保守を怠ったり適切な保管状態でない場合はその分寿命が短くなってしまいます。ph計など各種水質計は古くなったら買い換えましょう。 塩素イオン電極で残留塩素が測定できるかという疑問を持つこともあります。 塩素イオンは水に溶解した塩化物であり、残留塩素は次亜塩素酸ナトリウム等に代表される酸化性の殺菌剤のことです。 そのため塩素イオン電極では残留塩素を測定することはできません。